10~20MWの営農型メガソーラー開発
――国内では、広大な耕作放棄地がありながら、簡単に農地転用が進まないのが現実です。そのため、相対的に手続きの容易な林地開発許可申請により山林を切り開き、メガソーラーを建設する動きが目立っています。
安岡 耕作放棄地などの農地活用では、「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)」に注目しています。ソーラーシェアリングを想定した農地の部分的な一時転用は、完全な農地転用に比べると、比較的、認められやすい仕組みになっています。農業関係者と連携しながら、地域に根付いたメガソーラーになる利点もあります。
――これまでのソーラーシェアリングの試みは、50kW未満の低圧連系による発電システムが多く、「メガ」クラスの大規模なプロジェクトは少ないのが現実です。
安岡 ソーラーシェアリングでも10~20MWの大規模なプロジェクトを狙っています。そこで、相対的に耕作規模の大きい牧草地を想定しています。国内の畜産業は、輸入配合飼料を使うことが増え、有効に使われていない牧草地も増えています。こうした牧草地に太陽光パネルを設置して営農と両立すれば、地代などの形で地域経済にも利点があります。
――具体的にどの地域でのプロジェクトを想定していますか。
安岡 東北地方の牧草地でのソーラーシェアリングを目指し、2年前から東北大学の研究者と連携して、フィールド実験を続けています。現在のソーラーシェアリングの仕組みでは、太陽光パネルを設置したことによる作物の減収を2割以内に抑える必要があり、それが3年ごとに一時転用を更新する条件になります。そこで、フィールド実験を通じてパネルの設置間隔や角度などと牧草の生育に与える影響を検証してきました。