1軸と2軸の可動式架台を検証

――可動式架台を採用すると、初期コストが膨らみませんか。

安岡 可動式架台のうち、1軸式と小型2軸式(追尾式)を検討しています。それぞれに利点と欠点があり、最終的にどちらを採用するか、実証を通じて評価する予定です。1軸式は、海外では導入事例も多く量産化も進んでいます。一方、小型2軸式追尾システムは、まだ、海外でも導入例が少なく、今回、評価データを得られると期待しています。

 可動式架台の利点は、時期や時間によって遮光率を自由に制御できるため、通常の野立て太陽光発電所と同じ間隔でパネルを設置できる可能性もあることです。作物に日光の必要な時期は遮光率を下げ、それほど光が必要でない時期や作物のない冬期には、発電を優先して太陽を追うことで、通常のメガソーラーと同様か、それ以上の面積効率で発電量を確保できる可能性があります。

――農作業に配慮し、設置高が高くなるソーラーシェアリング用の基礎・架台については、風や積雪に対する強度設計に懸念を持つ人もいます。

安岡 可動式架台の利点は、その点にもあります。可動式なら積雪時に雪を落とすという制御ができます。加えて、2軸式追尾架台では、パネルを垂直に立てれば、架台の間をトラクラーが通れます。設置高が低くても農業機械での営農が可能になります。

 雪をパネルから落とすことは、東北地方で農地の健全性を保つ点でも重要なことです。固定式架台の場合、パネル下に雪がないため、冬季に凍結してしまいます。本来、多年草の牧草も死んでしまい、毎年、種まきが必要になります。

 冬期にパネル下まで雪で覆うことで、土壌の凍結を防ぎ、春先に雪解け水によって、適度な水分が補充されます。それは、作物にとって理想的なのです。

エクセリオ・ジャパン(X-Elio Japan)・安岡克己社長
エクセリオ・ジャパン(X-Elio Japan)・安岡克己社長