出力抑制率は10%が上限

――ベストミックスの規定値を大幅に超えそうですね。

鈴木 ベストミックスでは原発の比率を20~22%としてCO2問題と経済性をクリアすることになっています。しかし、実際には、新設なしの場合、多くの原発を運転期間60年に延長する必要があります。しかし、新しい安全基準に対応するための改造費用などを考慮すれば、経済性を持つ原発は一部に限られます。電力会社は、冷静な経営判断から廃炉を決断し、最新型火力発電の新設にシフトすると見ています。

エクソル・鈴木伸一社長(前・JPEA事務局長)
エクソル・鈴木伸一社長(前・JPEA事務局長)

 実際にこうした視点から電源構成の将来を分析し、2030年の原発比率は10%程度にしかならないとの予測もあります。そうなると、CO2問題の達成には、10%近くの原発の“穴”を再エネに置き換える必要があります。

 ここまで追加導入が見込めるのは太陽光しかありません。いずれ、経産省は「太陽光は64GWではぜんぜん足りない」とのスタンスに変わると見ています。つまり、2030年に太陽光100GW超というのは、エネルギー政策面でも求められる数値になります。

――とはいえ、足元では30日等出力制御枠(接続可能量)を超えた電力会社管内では、無制限・無補償の出力抑制が接続条件となっており、ファイナンスが付きにくくなっています。

鈴木 九州電力管内では、理論上、今年5月から出力制御のかかるレベルまでの再エネの導入が進んでいますが、実際には要請していません。出力制御は、原発稼働数に大きく影響されますが、既述したように再稼働は予定ほど進まない可能性が高いのが実態です。

 2020年以降、30日等出力制御枠を超えた時点で、制御率が数%程度になる可能性はありますが、2030年頃になっても、10%前後が上限値になると見ています。この程度の出力抑制は、30日ルールの下でも想定していたものです。

 加えて、電力システム改革によって、地域間連系線の活用が進んでいくと、状況は一変します。経産省の幹部は「系統問題は、我々に任せてくれ」という言い方をしていますが、これは、広域連系によって、再エネの余剰を平準化していく方針を示しています。実質的に、出力制御は実行されないこともあり得ると見ています。

 こうした見方に立ち、エクソルでは、制御率10%相当を免責時間とした「出力制御補償」を実施しています。すでに保険会社からも同様の保険が商品化されています。