機械除草で多年草が生える
――除草剤を使った後、一斉に白く枯死した雑草を見ると、「猛毒」という印象を受ける面もあります。
伊藤(操) パラコートもそうでしたが、機械除草の代用として除草剤を使う運用方法も、立ち枯れで美観を損ね、化学薬剤のイメージを悪化させています。非農耕地用に売られている非選択性の除草剤の多くは、地上部を枯らせても、根や地下茎は生きているので、また生えてきます。機械除草と同様、一時的な対症療法に過ぎません。
すでに説明したように除草剤の機能は、草の地上部を枯死させるだけではありません。むしろ、世界的にはそうした短期的な使用方法は例外的で、発芽を抑制したり、地下茎に作用して根絶させるなど、より根本的な防除に活用します。
非耕作地の雑草防除体系は、まだ確立していませんが、平地と法面の違い、求める除草の程度などによって、除草剤を主体にした雑草管理法を大まかに想定できます(図2)。もちろん、周辺の有用植物に対して、流出による薬害が生じないような配慮は必要です。
伊藤(幹) 「除草剤を使え」と言っているわけでありません。ただ、少なくとも機械除草による対症療法を繰り返すことは、コスト的にも、環境負荷の点でも得策とは思えません。ひと月もすればまた生えてきますし、刈り取り作業によって雑草の種子や花粉などアレルギー物質が飛散することになります。
伊藤(操) 機械除草によって1~2年生の雑草を刈ると、地面に光が入るので、種子からの雑草の発芽を促します。多年草は、地上部を刈り取ると、地下茎から再生します。つまり、機械除草によって、背の高い多年生の雑草が優勢な植生に遷移することになります。年12回、機械除草を頻繁に行えば、地下茎も枯死しますが、現実的ではありません。