2019年11月以降、固定価格買取制度(FIT)による10年間の買取期間が終了する住宅太陽光発電が順次、出始める。こうした「卒FIT」の住宅太陽光では、経済メリットが見通せないことから「2019年問題」とも呼ばれる。この問題をどのように捉えているのか。また、停滞している住宅太陽光の将来像を含め、太陽光発電協会(JPEA)の掲げる「2030年100GW」ビジョンなどに関し、増川武昭事務局長に聞いた。

「問題」でなく「チャンス」

 初めて「卒FIT」を迎える住宅太陽光が出始める2019年11月まで、いよいよ残り1年に迫ってきました。「2019年問題」をどのように捉えていますか。

太陽光発電協会の増川武昭事務局長
太陽光発電協会の増川武昭事務局長
(撮影:清水盟貴)

増川 2019年「問題」というと、ネガティブ(消極的)な印象を与えてしまいますが、これは「問題」ではなく、むしろ「チャンス」だと考えています。

 まず、国民全体の視点で見れば、「卒FIT」の太陽光は、賦課金を伴わずにCO2排出削減という便益を生みます。経済的に自立した純国産の再生可能エネルギーが長期的に安定して稼働することになれば、エネルギー政策上は大いに歓迎すべきことです。

 ただ、住宅太陽光の利用者にとっては、これまでは何も考えずに決まった価格で売電し、経済メリットを得られましたが、「卒FIT」後は、売電先が増えるので、自宅にある再エネの価値をいかにして最大化するか、自ら考えて選択する必要が出てきます。

 一方、エネルギー業界の視点で見ると、大きなビジネスチャンスを秘めています。新電力やアグリゲーターにとっては、環境価値を持つ新たな再エネ電源の調達先になります。蓄電池と組み合わせるような、新たなビジネスモデルが生まれるでしょう。

 こうした観点で見ると、「2019年問題」は、全体としてポジティブ(積極的)に捉えるべきものだと考えています。