メガソーラー併設型蓄電池とAIで効率を向上

――太陽光発電は今後、アジアでの展開が多くなるとのことですが、どの地域を想定しているのでしょうか。

藤崎電機の藤崎耕治社長
藤崎電機の藤崎耕治社長
(撮影:日経BP)

 まず、インドネシアやカンボジアで展開したいと考えています。インドネシアは多くの島で構成されている国で、国全体を網羅するような送電網の敷設に向きません。カンボジアは電力をほぼ輸入に頼っています。いずれも、電気を使える地域でも、電気代が高い状況です。

 太陽光発電やマイクログリッドの需要が強く、蓄電池や人工知能(AI)を組み合わせた最適なシステムの展開先としても、魅力を感じています。

 蓄電池やAIの再エネへの応用は、注目している分野です。再エネ併設型蓄電池では、CONNEXX SYSTEMS(京都府精華町)とメガソーラーに併設するシステムを共同開発中で、AIについては、京都に開設した藤崎京都人工知能研究所を、FKAIR(京都市)として子会社化して取り組んでいます。

――メガソーラー向けの蓄電池とは、どのようなものでしょうか。

 ただ太陽光発電電力を貯めるだけではなく、一般的な太陽光発電所において、パワーコンディショナー(PCS)による交流変換時にロスになっている電気まで、適切に活用できるようにするものです。

 メガソーラーからの出力を最大化できるだけでなく、連系先の電力網にとっても、急峻な出力変化などを、メガソーラー側の制御で抑えられるようになり、双方に利点が大きい手法だと考えています。

 「交流変換時にロスになっている電気」とは、まず、過積載した太陽光パネルによって連系出力よりも多く発電できる場合です。また、朝の立ち上がり時などに、発電出力が急に増加した場合に、PCSの処理時に生じるズレによるものもあります。

 こうした電気まで最適に使えるようにするために、PCSの出力後に蓄電池に貯めるのではなく、PCSへの出力前に蓄電池に貯める手法を構想しています。

 蓄電池に電気を貯める段階として、ストリング(太陽光パネルを接続箱に入力する単位)、接続箱、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)などが考えられますが、現時点では、接続箱の段階で入力する手法が、最も効率的で有効なように感じています。

 CONNEXX SYSTEMSの蓄電池は、Liイオン蓄電池と鉛蓄電池による「バインド電池」と呼ぶものです。経済性、性能、信頼性のバランスが優れています。