再エネニーズあるが「玉」がない

事業活動に再エネ電気を積極的に使いたいという企業が増えてきましたが、日本では調達しにくいという声をよく聞きます。

井上 例えば、非化石価値の取引の仕組みなど、日本独自の制度になっています。国際NPO(非営利団体)のCDPはその活用を認めているものの、事業活動を100%再エネ電力で賄うことを目指す国際的な企業連合である「RE100」では、若干グレーな扱いとなっているようです。非化石電源の中で再エネ電源としてくくり、個別の再エネ電源に紐づけできない形にしたことなどが問題になっています。現状ではRE100を目指す企業が悩んでしまっています。

 RE100は、なるべく再エネ電力を直接調達することを推奨しています。そこで、RE100に加盟していたり、加盟企業と取引をしている企業には、再エネ電力の調達ニーズがかなりあります。そのニーズと現在の日本の制度には、ズレがあります。

 RE100には、グローバル企業が多く加盟しています。こうした企業に、日本は再エネ電力を調達しにくい国と見られてしまう恐れがあります。RE100企業がアジアに新たな拠点を設けようとしたときに、日本を敬遠する要因になってしまっては困ります。

 需要は確実にあり、小売事業者の中にも再エネ電気を売りたい、そこで差別化したいと考える事業者が多く出てきました。両方に思いはあるのに、制度が不十分で「玉がない」のが今の状況です。

FITの終了後は、需要家のニーズによって太陽光発電の普及が牽引される余地もありそうですね。

井上 再エネ電気の調達に関する課題も、現在が過渡期ゆえに起きていることだと思います。2050年には、おそらく再エネの比率はかなり高まっていると思います。その時点では、当たり前のように再エネ電気を調達できるようになっているはずです。