福島復興案件では東電に接続へ
――FIT改正によって、2017年3月までに電力会社と接続契約を締結していないと、認定が失効します。太陽光を手掛ける大手企業には、ブローカーなどから未着工案件(FITによる売電の権利)の売り込みが増えているようです。
稲田 太陽光発電所の開発では、自治体関連などリスクの小さい用地を使ったプロジェクトを中心に開発を進めてきました。しかし、改正FITの施行を前に、FIT初期の権利売買が活発化しており、2016年に入り、こうした権利の買い取りにも乗り出しています。
こうした案件は、少なからずリスクを含んでいます。しかし、土地評価を適正に行うなど、リスクをうまくマネジメントして発電所を建設し、売却すれば収益を出せます。
――経済産業省は、接続契約の申し込みから工事費負担金を支払って締結するまで9カ月かかるので、今年6月30日までに接続契約を申請するよう呼びかけました。今の段階で権利を買い取って、2017年3月までに接続契約を締結できますか。
稲田 「FITの権利」にもいくつかパターンがあります。「これから接続契約を申し込み、工事費負担金を算定する」案件は、2017年3月に間に合うかどうかは微妙です。一方で、「すでに工事費負担金が確定し、あとは支払うだけ」という場合や、「工事費負担金を払って契約締結したものの、自分で建設する意思はなく、権利を売りたい」という場合もあります。これらのケースでは、買取価格を維持したまま改正FITに移行できます。
――放射性物質に汚染された居住制限区域を含め、福島県内での復興関連の案件にも、積極的に取り組んでいますね。
稲田 原発事故に関連した福島復興案件では、完工済みと着工済み案件を合わせて32.7MWの実績があります(図2)。東京電力の福島第一原子力発電所の周辺には、不幸なことですが、汚染によって結果的に空いている場所が多くあります。
福島第一原発の近くには東電の変電所があり、東電管内に送電しています。国は、この変電所につなぐ送電網を福島県内に整備し、メガソーラーの発電電力を関東地方に送る計画を表明しています。こうした国の計画と連動する形で、今後も復興案件を積極的に開発していくつもりです。