架台の部品点数を40%削減
――配線のルート設計にも工夫の余地があるのですか。
稲田 パネルから接続箱、そして集電箱とPCSに送電する配線や地下ケーブルに電気が流れると、発熱します。これを複数本、束ねると、かなりの熱を持ちます。電線が熱を持つと抵抗となり、送電ロスが増えます。そこで、社内的に1つの配管に収納できる電線の本数などで基準を設けています。
また、ケーブルは長いほど、送電ロスが増します。ケーブル長がまちまちだと、最も長い送電線に合わせて効率性が制約されてしまい、発電所全体の発電量に影響します。そこでケーブル長は極力、同じになるように設計します。これまでの経験では、配線ルートの良し悪しで、システム損失は5~10%も違うことが分かっています。
これら3つのソフトウエアを活用することで、コストと発電量を試算して事業性が評価でき、投資に踏み切るか否かなどを短期間で判断できます。
――着工後の工期を短縮する取り組みはありますか。
稲田 現在、「倍速施工」と称した、工期半減を目指した技術開発プロジェクトを進めています。例えば、2.5MWの案件の場合、これまでの実績で工期は約80日でしたが、これを半分の40日に短くするのが目標です。
各工程の短縮目標は、杭打ちは45日から22日に、架台の組み立ては45日から22日に、パネルの取り付けは49日から43日に、電気工事は45日から39日に短期化します。これら4工程は、並行して進めますので、トータルで40日が可能になります。
具体的な施策として、杭打ちには汎用重機でなく専用重機を使い、従来の1日100本から、200本に高速化します。新たに開発した架台は、プレアッセンブリ(事前組み立て)、部品点数低減により、1日当たりパネル235枚の設置実績を470枚に増やすのが目標です。架台部品は、固定金具やボルトを減らすことで43%減らしました。