「高密度積み増し」でIRRは1ポイント向上
――発電量を増やす手法として、連系出力(AC)を上回るパネル容量(DC)を設置する過積載(積み増し)の比率(DC/AC)が高まっています。

稲田 これに関しては、「高密度積み増し設計」を提案しています。メンテナンス通路の設計見直しや設置角0度の「地なり」設置などによって、限られたスペースを有効活用して設置枚数を最大化し、1.4倍の積み増しを実現します。
仮にこうした工夫で、積み増しの比率を1.2倍から1.4倍に高めた場合、IRR(内部収益率)は、買取価格24円/kWhの場合、約5%から約6%に1ポイント上昇します。
FIT初期のメガソーラーの多くは、積み増し比率が低く、また設置スペースにも余裕があります。そこで、新設ばかりでなく、既設発電所への増設も提案しています。
――O&M(運営・保守)サービスでは、不具合パネルの早期発見が大きな課題になっています。こうした面での新しい取り組みはありますか。
稲田 O&M事業は、現在、90件で360MW分の受注事績があります。遠隔監視システムでは、接続箱単位で発電量をモニタリングしています。発電量監視では、ストリング(パネルの直列回路)単位の必要性を説くO&M事業者もいますが、初期投資が上がってしまいます。接続箱単位でも十分にストリングレベルの出力低下は把握できるので、費用対効果を考慮すれば、接続箱単位での監視が最適と判断しています。
加えて、不良パネルの早期特定には、「理論発電量」と実際の発電量との比較が不可欠になります。ただ、気温や日射計を使う従来の理論発電量では、真の発電量に比べて誤差が大きく、10%程度まで出力低下が多くないと気づきませんでした。
そこで、パネル自体の温度を測定したり、日射計を複数設置してより詳細な気象データを把握するなどの独自手法で、より正確な理論発電量を算出できるようになりました。真の発電量との誤差は±1%にまで精度が上がりました。
その結果、5%の出力低下でも、把握できます。2MWで買取価格40円/kWhのサイトの場合、5%は年間400万円に相当します。
PCSなど交流側の故障は、アラームが出るため、すぐに気づきます。しかし、パネルなど直流側の不良は、なかなか気づきません。こうした面では、パネルメーカーとして太陽電池の特性を熟知している強みが生かせると思っています。