固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、太陽光パネルの国内での設置枚数は急増した。今後、大量に発生する使用済みパネルを、適正に回収して処理できるかが問われることになる。野ざらしにされたり、不適切な方法で処理されたりする状況は避けなければならない。すでにこの点に関し、2017年秋に総務省から勧告を受けているが、回収や処理の仕組み、技術も、まだ確立されていない。さまざまなガラス関連製品の適正処理・リサイクル(材料の再利用)に関わってきた、ガラス再資源化協議会(東京都港区)の加藤 聡代表幹事に、太陽光パネルの回収・リサイクルのあるべき姿や課題などを聞いた。

ガラス再資源化協議会の加藤 聡代表幹事
ガラス再資源化協議会の加藤 聡代表幹事
(出所:日経BP)

――ガラス再資源化協議会のこれまでの活動などを教えてください。

 ガラス関連製品のリサイクル(材料の再利用)は、瓶からはじまりました。1999年に制定された「容器包装リサイクル法」で制度化され、この時にガラス再資源化協議会を立ち上げました。活動をはじめてから、2019年で20周年を迎えます。

 その間、瓶だけでなく、さまざまなガラス関連製品の回収やリサイクルに関わってきました。食品、建築、自動車、電子機器など、応用分野が広いことがガラス関連製品の特徴の一つです。

 ガラス関連製品の回収やリサイクルに関わる団体として、特徴的なのは、ガラスメーカーから、ガラス応用製品メーカー、ユーザーまで、さまざまな立場の企業や団体が会員として集まっていることです。応用分野は幅広いのですが、いわゆる「横串を刺す」分野横断型の活動によって、うまく全体をカバーしています。これは、日本では珍しいことではないかと自負しています。

 ガラスは、さまざまな分野で使われています。ほかの分野でも、ガラスの回収やリサイクルに関して、同じような課題があり、すでに優れた技術や仕組みを、確立できているかもしれません。こうした先行例の成果を、他の分野にも展開していくことで、ガラスのリサイクルをよりスムーズに、より適した方法で実現できるのではないかと考えています。

 太陽光パネルのリサイクルも、例外ではありません。この分野は、喫緊の課題が多く、協議会にとっても、特に力を入れている分野の一つです。リサイクル技術の研究開発のほか、回収・リサイクル網の整備、関連企業への教育や啓蒙など、さまざまな角度や方向から取り組んでいます。

 活動の一つである海外の先進事例の視察では、11月に欧州を訪問し、2社の太陽光パネルのリサイクル施設を視察してきたばかりです。

 米ファースト・ソーラーが運営しているドイツの施設と、仏ヴェオリアグループのフランスにある施設です。ヴェオリアは、水処理や樹脂関連のリサイクルなどで知られる世界的な大手ですが、太陽光パネルのリサイクルでも存在感を高めています。