PR

近位と遠位を統合的に治療

 ただし、従来の方法では2つのシステムが必要で、両者の切り替えをスムーズに行えないという課題があった。そこで今回は、近位空間と遠位空間に統合的に介入できる手法として、ヘッドマウントディスプレーによる没入型VRを活用する。仮想空間上で広いスペースを簡単に用意でき、近位・遠位空間の切り替えもしやすい。仮想空間に入り込む感覚が得られることから、実世界に近い空間認知を与えることもできる。これらの特徴により、近位空間と遠位空間の刺激に反応するニューロンをともに活性化する治療が可能になる。

ヘッドマウントディスプレーとモーションセンサーを活用(資料提供:早稲田大学)
ヘッドマウントディスプレーとモーションセンサーを活用(資料提供:早稲田大学)
[画像のクリックで拡大表示]

 このシステムは、市販のヘッドマウントディスプレー「Oculus Rift」とモーションセンサー「Leap Motion」で構成する。可動スリットを3次元VR空間に移植する方法として、可動スリットが回転するように動く回転型可動スリットをOculus Rift用アプリケーションソフトウエアに実装した。Leap Motionで被験者の手の動きを捉え、その動きと連動してVR空間内で手の画像が動く。

 このシステムによる介入では、近位空間では「手を前に伸ばして(VR空間内に見える)オブジェクトに触れてください」というタスクを課し、遠位空間では「(VR空間内に見える)点滅するオブジェクトを口頭で回答してください」というタスクを課す。可動スリットの回転速度は毎分1回ほどで、介入は数分間にわたって行う。