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吃音症をVRで改善する

 来場者が選ぶオーディエンス賞は、吃音(きつおん)症を改善するトレーニング用のVRアプリを開発するAdversity Projectが獲得した。成人の吃音症は治りにくく、改善しようと思っても専門医が少ないといった課題があるという。吃音VRプロジェクトリーダーの梅津円氏は接客業のアルバイトで吃音症を改善した経験があり、その経験を生かして自分のペースで練習できるVRアプリの開発に着手した。面接やプレゼンテーション、自己紹介といった緊張しやすい場面をVRで再現しており、繰り返し練習できる。今後は話し方によって相手の反応が変わるといった双方向のコンテンツの作成も検討する。

Adversity Projectの吃音VRプロジェクトリーダーの梅津円氏
Adversity Projectの吃音VRプロジェクトリーダーの梅津円氏
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 残る1社のERISAは、認知症の治療薬の開発を支援するコンパニオン診断プログラムを提供する。認知症の治療薬の開発は難しく失敗も多いという。原因の1つに、軽度認知障害から認知症に進行する患者の比率が低く、治療薬の有効性を確かめにくい点を挙げた。そこでERISAは脳のMRI画像を解析して、軽度認知障害から認知症に進行しない患者を見分けるプログラムを開発した。このプログラムを活用した(1)過去の治験の再検証、(2)今後の治験の被験者のスクリーニングのほか、(3)プログラム自体の販売を計画している。

 Open Network Lab BioHealthは、バイオヘルス分野のスタートアップ企業を育成するプログラムで2018年9月に始まった。56社・団体から応募があり5社が選ばれ、今回はMealthy、ユナイテッド・イミュニティ、Adversity Project、ERISAの4社が登壇した。デジタルガレージでは今後も、バイオヘルス分野のスタートアップ企業を育成するプログラムを継続する意向である。