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外傷以外の内科的診療でも有効

 熊本地震で大阪医療センターは、DMAT 2隊を派遣した。国立病院機構災害医療センターとともに日本DMAT事務局を担っていることもあり、第一陣として派遣された1隊は本部支援活動に従事し、第二陣の1隊が熊本赤十字病院で実際の診療にあたった。

DMAT第二陣を現場で指揮した救命救急センター医長の上尾氏
DMAT第二陣を現場で指揮した救命救急センター医長の上尾氏

 熊本地震で初めて使用された紙の災害診療記録だが、派遣先に置かれ「使用を促すアナウンスはあったものの、実際はあまり使われていないようだった」(救命救急センター医長 上尾光弘氏)という。そうした中、上尾氏らのチームは熊本赤十字病院での支援診療および避難所の巡回診療で、紙の災害診療記録と併用で電子災害診療記録システムを実際に運用した。

 紙の災害診療記録では診療の継続性への考慮として、災害時の初期情報であるトリアージIDやトリアージ区分を引き継げる診療録の形式にはなっているが、複数回に診察が及ぶ場合の記載方法が十分とは言えない。例えば、最初の診療記録作成時には一般診療用の所見・処方・処置はチェック項目を埋めるだけでほぼ記載できるが、2度目以降の記載にはすべての項目を2号紙用紙に手書きする必要がある。外傷用でも評価・緊急処置を重ねて実施する場合は、新たな用紙に記載して足していくしかない。

 電子災害診療記録システムでは、複数回の診察時に所見や評価、処置入力のたびに入力フォームへの入力が可能なうえ、それぞれ入力内容が画面右側にまとめられ時間経過とともに表示される。「特に避難所での内科診察では一人の患者が何度も診察を受けるケースは多く、診察する医師は毎回変わるのがほとんど。その都度、所見や処方を容易に入力でき、かつ前回診察時のカルテ内容が一目で把握可能なところが、電子災害診療記録システムの有意な点である」(上尾氏)と話す。

 熊本地震で実際に電子災害診療記録システムを使用した患者は約40人。そのうち災害関連の疾病は1/3で、外傷3人、骨折1人、打撲2人、自家用車内で避難生活を続けたことによる下肢深部静脈血栓などが含まれる。残りの3/4は被災したことで慢性期疾患が悪化したケースが多く、高血圧症やアレルギー性鼻炎、あるいは呼吸器感染症など緊急性はないが要治療の患者が救護所を訪れた。「外傷患者だけでなく、一般救急外来や慢性期疾患の治療またはフォローアップにも使える仕様になっている」(上尾氏)とし、電子災害診療記録システムが2回目、3回目と継続的な診察にも適しているメリットを十分発揮できたという。