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J-SPEEDに対応、被災地の医療概況把握が迅速に

 災害時の医療対応では、どんな病気や症状の患者がどの地域でどれくらい発生しているか状況把握することが重要だ。また、収集した医療情報は後に災害事例の検証・分析するための災害疫学としても有益に活用される。そこで、標準化された災害診療記録には、初診時J-SPEEDレポートティング用の項目が付記されている。

 J-SPEED(日本版災害時診療概況報告システム)は、災害医療コーディネーターなどが被災地の医療概況をリアルタイムに把握するために必要な情報を迅速に集計する仕組み。医療救護チームが、診療した被災者の年齢や性別のほか、発熱や傷、ストレス症状の有無など26項目をチェックし(追加症候群は記述)、報告用紙はその日のうちに対策本部に集められる。熊本地震で初めて試験導入された。電子災害診療記録システムでも26項目を容易にチェックしていくことで、当日のデータを瞬時に集計・報告できる仕組みを組み込んでいる。

電子災害診療記録システムを開発した医療情報部長(産科医長)の岡垣氏
電子災害診療記録システムを開発した医療情報部長(産科医長)の岡垣氏

 前掲の外傷、骨折、下肢深部静脈血栓、高血圧症の患者数などは、このJ-SPEEDレポーティング機能により集計したデータの一部だ。電子災害診療記録システムを開発した医療情報部長の岡垣篤彦氏は、「紙媒体の場合は、迅速な集計・分析は事実上困難」と指摘。「電子化したことで迅速に集計でき、DMATがどれくらいの密度で診療しているか、初療の実態を確実に把握できる」とした。また、救命救急外来用に開発したER記録システムを使用した初療実態把握・分析を実現している例を挙げ、「災害医療の質の評価分析も可能になる」(岡垣氏)と期待する。

 「検討・策定に3年ほどの時間を費やした」(定光氏)という災害時の標準診療記録。熊本地震では800件ほどの使用実績の報告もあるが、不十分な記載や救護チーム独自のフォーマットを使用しているケースも多いという。「今後、災害診療記録はDMATだけでなく、日赤の災害医療班など様々な災害医療支援チームで使われていくことを望んでいる」(定光氏)という。その過程で、同氏は「今の時代、浸透させるには電子化した方が普及は加速するのではないか」といい、定期的に実施されるDMATの研修や災害訓練の際に、「協力を得られた数チームで訓練運用を試み、認知度を高めていきたい」(定光氏)と語った。