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 「われわれは何者か? それを見つめ直し、薬局の役割を再定義する必要がある」。首都圏を中心に約140店舗を展開する調剤薬局チェーン、薬樹 代表取締役社長の小森雄太氏はこう話す。

薬樹の小森氏
薬樹の小森氏
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 調剤し、薬を患者に渡すだけの存在から、住民の生涯の健康をサポートする存在へ――。薬局は今、その役割を大きく変えようとしている。

 2016年10月には健康サポート薬局制度が始動。かかりつけ薬局の基本機能を備え、住民の健康増進を積極的に支援する役割を認められると「健康サポート薬局」を名乗れるようになった(関連記事1)。

 小森氏は、エムティーアイが2017年1月24日に開催したメディアセミナーに登壇。「薬局×ヘルスデータ=? ~くすり屋から健康屋へ~」と題し、次世代の薬局に求められる役割について語った。

 「Last One MileからLast One Inch、そしてPost One Inchへ」――。同氏はまず、薬局の役割の変化をこんな言葉で表現した。Last One Mileとは薬を患者の手元に届けるという、従来からの薬局の役割。Last One Inchは残薬管理などを含む、患者の生活に寄り添った服薬支援を指す。

 そして「ICTやアプリを活用することで可能になってきたのがPost One Inch」(小森氏)だという。服薬の効果や副作用を日常生活の中でモニタリングし、それを患者のケアに生かす取り組みだ。

「薬を減らす」のも役目

 これまでの薬局は、薬を通じて病気の「治療」を支援する存在だった。これからはそうではないという。「服薬の本来の目的は、健康を維持すること。その観点からは、予防や社会とのつながりの支援という役割が薬局には求められる。薬物療法からの離脱を後押しすることも、役割の1つだろう」(小森氏)。

 薬樹では糖尿病患者に対し、経口薬による治療に加えて食事療法や運動療法の支援もしているという。その結果、薬物療法から離脱できる例も出てきた。「服薬量が減るのを喜ぶ薬局なんて聞いたことがないと、患者には笑われた。だがそういう関係を築くことができれば、次に風邪を引いたりしたときには、我々の店舗に足を運んでくれるはずだ」(同氏)。

 疾病予防や重症化予防に比重を置いた健康サポートを行う上では、薬だけでなく食事や運動、睡眠などに着目したサービスが欠かせない。そこで同社は、薬剤師のほかに管理栄養士や理学療法士も積極的に採用。運動療法のプログラム開発などに取り組んでいるという。

生涯にわたり健康をサポート
生涯にわたり健康をサポート
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 ライフステージに応じたサービスも重要性を増す。薬樹では「女性職員が多いという調剤薬局の特徴を生かし、妊活中の女性には半個室スペースで『ルナルナ』などのアプリを案内したりする」(小森氏)。高齢者向けには、医療者を伴うウォーキング(メディカルウォーキング)を実施するなどの支援を行っている。

 生活習慣にまで介入し、顧客をより健康にしていくことで「処方箋の枚数が減るかといえば、そんなことはない。むしろ店舗への再訪率は高まる傾向にある」(同氏)。