最適な治療を導くモデルを競う
今回の学術大会はこうした状況を踏まえ、集中治療へのビッグデータや機械学習(Machine Learning)の活用を担える人材を育てることを狙う。米ハーバード大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したICUデータベース基盤「MIMIC III」を活用。ハーバード大学医学部や米Beth Israel Deaconess Medical Center、アジア、豪州で蓄積されてきた匿名化データを使い、集中治療へのデータ活用を実践的に学ぶ場とする。
大会には約120人が参加予定で、うち8割強が救急救命医などの医師という。そのほか、システムエンジニアや研究者などが参加する。
目玉となる企画の一つが、データソンである。参加者を15チームほどに分け、集中治療の実際の場面を想定した質問に対して、最適な治療法を導くモデルの開発を競う。質問例として重光氏が挙げたのは「重症肺炎患者に対して、どの抗生剤をどのタイミングでどのように投与すれば死亡率を最も下げられるか」というもの。各チームがモデルを考案したうえで、MIMIC IIIのデータを活用してその実効性を検証する。
東京医科歯科大はここにきて、医療分野のデータ活用を担う人材育成に本腰を入れ始めた。文部科学省のデータ関連人材育成プログラム事業に選ばれた「医療・創薬 データサイエンスコンソーシアム」(2017~2021年度)がその一つで、同大学が代表機関を務める。同コンソーシアムでは医療・創薬・ヘルスケア分野のビッグデータ活用に向けて、医療機関や研究機関、企業間の連携を促していく。