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 切断した“幻”の四肢が痛む「幻肢痛」と呼ばれる神経障害性疼痛に対し、VR(バーチャルリアリティー)などを用いた治療法の開発が進んでいることは、本誌既報の通り。

 一方、幻肢痛に対する現在の治療としては、保険適用がある薬物療法や脊髄刺激療法が施されるのが一般的だ。

「電気刺激を与えても痛みが完全に取り除けるわけではないが、減薬につながるケースもある」と話すNTT東日本関東病院の安部洋一郎氏
「電気刺激を与えても痛みが完全に取り除けるわけではないが、減薬につながるケースもある」と話すNTT東日本関東病院の安部洋一郎氏
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 このうち、脊髄刺激療法は、脊髄に微弱な電流を流して異常な痛みの情報を脳に伝わりにくくする治療法である。1992年に慢性難治性疼痛の除去または軽減を対象に保険収載された。近年、複数の改良型デバイスが登場し、見直されている。

 脊髄刺激療法では、体内にデバイスを埋め込み、日常的に電気を流すことで痛みを1/3~1/2に軽減できる。硬膜外腔に電極(リード)、腹部または臀部に刺激装置(ジェネレーター)を埋め込み、患者がリモコンを操作することで電流を流す(写真)。

写真 脊髄刺激療法で体内に埋め込んだリードと電極 (提供:安部洋一郎氏)
写真 脊髄刺激療法で体内に埋め込んだリードと電極 (提供:安部洋一郎氏)
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 使い方は患者によってさまざまで、痛みを感じたら刺激を与える人もいれば、常時刺激する場合もある。電気を流すことで痛みが軽減する仕組みについては諸説あるものの、「より太い神経線維を刺激することで痛みの神経線維の情報を脳に伝わりにくくしている」とNTT東日本関東病院ペインクリニック科部長の安部洋一郎氏は説明する。

 「他の医療機関でモルヒネを大量に投与しても痛みが軽減しなかった患者が、減薬できたり体を動かせるようになったりした」(安部氏)例もある。ただし、脊髄刺激療法を行える医療機関は少なく、植え込み後のアフターケアまできちんと行える医療機関は限られるのが現状のようだ。