PR

 「製薬業界×デジタルヘルス」の流れがますます加速してきた(関連記事)。2016年2月には、米製薬大手Merck & Co.日本法人のMSDが、ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズと共同で「ヘルステックプログラム」を始動(関連記事)。そして、このほどバイエル薬品がデジタルヘルス技術を支援するオープンイノベーションプログラム「Grants4Apps Japan」を開始した。

 Grants4Apps Japanは、バイエル薬品が提示した課題を解決するデジタルヘルス技術(ソフトウエア、ハードウエア、モバイルアプリケーション、ウエアラブルデバイスなど)を募集。最優秀の解決策に対して、助成金(100万円)を支給するというもの。既に欧州で同様のプログラムをスタートさせており、それを今回、日本でも展開する。

 「我々にとって大切なイノベーションは(医薬品の)研究開発。しかし、それだけではない。特に、デジタルヘルスの分野に大きなイノベーションの余地がある」。2016月3月22日に実施されたGrants4Apps Japanのキックオフイベントで、バイエル薬品 代表取締役社長のカーステン・ブルン氏はこのように述べた。

バイエル薬品 代表取締役社長のカーステン・ブルン氏
バイエル薬品 代表取締役社長のカーステン・ブルン氏
[画像のクリックで拡大表示]

 この言葉には、単に医薬品の研究開発や提供だけにとどまらない領域に打って出たいとの思いが多分に含まれている。新薬の承認数は年々減少し、ブロックバスターと呼ばれる大型新薬も不発。低分子医薬品から高分子(バイオ)医薬品へのシフトに伴って新薬開発の難度は増し、次世代薬の候補(パイプライン)も枯渇気味。その間に、既存のビジネスを守ってきた特許も次々と切れていく…。まさに今、製薬業界にとっては次の一手を打つ時にきているのだ(関連記事)

 そこで、製薬各社が模索し始めているのが、デジタルヘルスを取り込んだ新たな価値の提供である。患者の治療に寄与するという本分は維持しつつも、そのツールは必ずしも医薬品だけではないという流れになってきているというわけだ。バイエル薬品でGrants4Apps Japanを主導する菊池紀広氏(オープンイノベーションセンター R&Dアドバンストアナリティクス&デジタルヘルスイノベーション マネジャー)は、デジタルヘルス技術を支援する今回の取り組みの狙いについてこう述べる。「医薬品の提供を超えて、患者がたどるすべてのプロセスに貢献する」。

 その前提として、今回の取り組みを通してデジタルヘルス分野自体を盛り上げていきたいと菊池氏は語る。もちろん、「今後、協業できるような新しい技術を見つける」(同氏)ことを視野に入れる。