国立がん研究センターと東京医科大学は2018年4月10日、研究や教育、臨床などの領域に関して包括的な連携協定を結んだ。双方の特色を生かし、両機関の病院間の診療連携、大学院における教育機会の提供、がんに関する共同研究などを推進していく。
具体的な連携領域は、次の4つが予定されている。すなわち(1)大学院連携、(2)臨床・診療連携、(3)幅広い職種での連携、(4)研究でのコラボレーション、などである。
(1)の大学院連携は、2019年に開設する連携大学院で双方の医師やレジデントを受け入れ、アカデミックなキャリアを積み、がんセンター研究者が学位を取得しやすい環境を提供する。
(2)の臨床・診療連携は、心疾患や腎不全、生活習慣病など、がん診療に関わる併存症・合併症への対応や高度ながん診療対応に向けた診療連携の確立を目指す。
(3)の幅広い職種での連携は、看護師や薬剤師など幅広い職種が、認定資格取得を見据えた連携を促進する。(4)の研究でのコラボレーションは、東京医大の医師や研究者が、がんセンターで基礎的な研究やトランスレーショナルリサーチにおける連携を実施する。心臓とがんの関係(Cardio-Oncology)、あるいは肥満とがんの関係(肥満腫瘍学)といった領域の学際的な研究を行っていくとする。
両機関は今後、「国立がん研究センター・東京医科大学連携推進協議会」を速やかに設置。それぞれの連携領域でワーキンググループを立ち上げ、具体的なプロジェクトを検討・実行に移すという。
協定調印式に登壇した国立がん研究センター 理事長の中釜斉氏は、合併症を抱えた患者に対してどのようながん医療を提供するのかが課題だとした。「相互の強みを補完的に生かした全人的ながん医療の研究、診療体制をつくっていきたい」(同氏)。
一方、東京医科大学 学長の鈴木衛氏は、次のように述べた。「2019年7月に新大学病院がオープンし、従来にも増して高度ながん診療に取り組む。こうした時期にがん研究センターとの包括連携が推進されることは、がん診療・研究に一層の発展が期待できる」。