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自らANNYYS_Developer版を導入

 前田氏がFileMakerを使うようになったのは、同氏が研修医の頃からだ。退院時要約や、臨床研究データを入力する際に、データ漏れがないように構築されたデータベースに感動し、また使い勝手が良いことを知ったことで、FileMakerを使い始める契機となった。このため、クリニック開業に際して電子カルテシステムの導入を検討したときも、「自分に知識があるFileMakerをベースとする電子カルテシステムをまず探した」という。当初は一から電子カルテを開発しようとも考えたという前田氏だが、FileMakerをベースにしたオープンソース電子カルテ「ANNYYS_Developer版」の存在を知り、採用に踏み切った。

 同電子カルテは、日本外来小児科学会の有志による電子カルテ開発プロジェクト「ANNYYS」で開発されたもので、プロジェクトの基盤設計などに参加していた医療情報技師の秋山幸久氏(エムシス代表取締役)が機能や精度を見直して再構築し、2013年10月に配布を開始した。電子カルテとしての基本インターフェースが分かりやすく設計され、日医標準レセプトソフト(ORCA)との連携機能を標準で装備していることが特徴である。

 ANNYYS_Developer版は、ANNYYSの事務局運営会社であるエムシス(東京都世田谷区)をはじめ、現在6社のFileMakerによるシステム開発会社が導入サポートを行っており、随時ダウンロードも可能である。一般的には導入作業はこれらのシステム開発会社が行うが、点滴・予防クリニックでは、すべて前田氏自らが導入し、カスタマイズも行った。

 前田氏はANNYYS_Developer版の優位点として、FileMakerをプラットフォームとしたオープンソースで提供されていることを挙げる。「データに基づいた評価を実践するためには、電子カルテに蓄積したデータを利活用することが重要。ANNYYS_Developer版はオープンソースなので、データ活用を前提とした入力フィールドの作成など、カスタマイズが自在にできる。また、カルテ記載のための支援ツールは、同じFileMakerで作成したソフトなので連携も容易だ」と、ANNYYS_Developer版が、柔軟性に富んだデータベースを容易に構築できるFileMakerをベースとしている利点を強調した。

 前田氏は診察時に、必ず両上腕の血圧を同時に測っている。「左右の腕の血圧を同時に測定し、左右の血圧較差が20mmHg以上であれば、どちらかの血管の動脈硬化が進行していることが疑われる。自覚症状が全くない時点において、診察室でもできる簡便なスクリーニング検査として利用できる」(前田氏)からだ。

前田氏は診察時に両側上腕の血圧を同時に測定できる血圧計(右下:パラマ・テック nico PS-501®)を用いている。
前田氏は診察時に両側上腕の血圧を同時に測定できる血圧計(右下:パラマ・テック nico PS-501®)を用いている。
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 ANNYYS_Developer版のもともとのバイタルサイン入力画面では、収縮期/拡張期血圧の入力フィールドはあるものの、両腕の値は入力できない。そのため前田氏がカスタマイズした機能の1つに、両腕の収縮期/拡張期血圧や循環機能の指標であるKSG面積比率(コロトコフサウンドグラフ)の値などを入力できるようにした。

左右の血圧やKSG面積比率値を入力できるようにカスタマイズしたバイタルサイン入力画面。自己責任だが実情に合わせたカスタマイズが可能だ。
左右の血圧やKSG面積比率値を入力できるようにカスタマイズしたバイタルサイン入力画面。自己責任だが実情に合わせたカスタマイズが可能だ。
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