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 トヨタ自動車は2017年秋、脳卒中などによる下肢麻痺患者のリハビリテーションを支援するロボットを事業化する。藤田保健衛生大学と、2007年から10年をかけて共同開発した「ウェルウォーク」がそれだ。医療機器としての承認を取得済みで、医療機関向けのレンタルを2017年9月に開始する。

下肢麻痺患者のリハビリを支援する
下肢麻痺患者のリハビリを支援する
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 ウェルウォークは、患者の麻痺側の足に装着して膝の曲げ伸ばし動作を助ける「ロボット脚本体」と、トレッドミルやモニターから成る「本体」で構成する。ロボット脚本体は膝部にモーターを備え、足裏の荷重センサーからの情報を基に、モーターによる動作補助量を調整する。立脚時は膝が伸びた状態を保持し、遊脚時は膝が曲がることで自然な歩行を支援する。

 このロボットの特徴は、運動学習理論に基づく支援機能を備えること。問題への気づきを与える「歩行状態のフィードバック」や、補助しすぎないように補助量を最適化する「アシスト調整」などの機能を搭載した。

 ウェルウォークの臨床応用に当たって、藤田保健衛生大学 医学部教授の才藤栄一氏は「“歩ける”と“歩けるようになる”には大きな違いがある。助けすぎると歩けるようにはならない」との考えを大切にしたと話す。患者がロボットに頼ると、運動の学習効果が得られにくくなる。そこで「補助量をギリギリまで減らし、最小の補助で沢山歩けるようにすることで、リハビリへのやる気も出るというポジティブフィードバックにつなげる」(同氏)ようにした。

藤田保健衛生大学 医学部教授の才藤栄一氏
藤田保健衛生大学 医学部教授の才藤栄一氏
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 ロボットを使わず、理学療法士のスキルに頼る従来のリハビリでは、患者の転倒などを防ぐために、理学療法士が患者の動きを早めにサポートしがちだったという。「転倒などの危険がある場合に、最後の最後まで“待って”くれる存在がなかったため、患者はトライアンドエラーの機会を失いがちだった。ロボットはいわば千手観音としてそれを可能にする」(才藤氏)。

 複数の医療機関で実施してきたウェルウォークの臨床研究では、こうした特徴を生かした成果が得られ始めている。例えば、下肢麻痺の患者が歩行できるようになるまでの期間の短縮につながっているという。