病気の影響が少ない眼球運動に着目
目の動きだけで映像や音楽の操作を可能にしているのは、ジンズが手掛けるセンシング アイウエア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」である。ALSは、体を動かす運動ニューロンが変性して次第に筋力が衰えていく病気だが、眼球運動は比較的その影響を受けない。そこでジンズは、目の動きを使ってALS患者を支援するためにJINS MEMEを使った支援策について模索してきた。
具体的には、JINS MEMEを使って視線の動きやまばたきの情報をリアルタイムに取得し、眼電位を電気信号に変換してデバイスを操作するアプリ「JINS MEME BRIDGE」を開発した。今回は、その技術を映像や音楽の操作に利用した格好だ。
分身ロボット「Orihime」が出迎え
なお、この音楽フェスでは、オリィ研究所が手掛ける分身ロボット「Orihime」が観客を出迎えた。Orihimeは、入力した文章を自分の“分身”として話してくれるロボットである。文章の入力は指や視線で操作できるタッチパネルを使用して遠隔から行うことができるため、控え室にいる武藤氏と会場にいる観客がコミュニケーションをとることを可能にした。
音楽フェス開催に先立って武藤氏は、「いまだにこの病気の治療方法は確立されておらず、ALSとの闘いは決して終わっていない。ALSを治る病気にするために、自分にできる行動を続けていきたい」とコメントを発表している。
同月20日には、武藤氏らが20年後の東京をテーマにして作成したミュージックフィルムがYouTubeに公開された。クラウドファンディングによって制作資金を集め、音楽ユニット「DefTech」が書き下ろしの新曲を提供した。ミュージックフィルムには、ALSが治る未来に向かって歩き続ける“KEEP MOVING”というメッセージが込められている。