PR

毛細血管を救い、動脈を失う

 稲田氏と同様の経験をしたもう1人は、EDAC副理事長/最高経営責任者の円城寺雄介氏。佐賀県職員で、救急医療へのiPad導入を主導した実績などで知られる。現在、佐賀県 政策部 政策課 さがデザイン担当 主査を務める同氏は、仕事からの帰宅時に今回の地震に遭遇した。役職は災害支援担当ではなかったが、佐賀県が震災直後から熊本県に派遣した支援メンバーの1人に選ばれた。

登壇した円城寺氏
登壇した円城寺氏
[画像のクリックで拡大表示]

 物資の搬入/搬出や避難所の支援などに当たった同氏は、稲田氏と似た状況を経験する。「物資が足りないとメディアが報じ、SNSでもそうした情報が拡散され、(既に足りている)水やおにぎりが大量に送られてきた」(円城寺氏)。

 足りている物資が大量に届くことで、現場はさらに混乱を増す。本当に必要な支援が不足したまま「“毛細血管”を満たすものばかりが届き、その間に“動脈”が尽きてしまう」(同氏)。熊本県庁では大量の物資の搬入/搬出や必要数の把握を県職員が「飲まず食わずで行い、倒れる職員が続出した」(円城寺氏)という。

 ドローンの活用でも苦い経験をした。今回の震災で佐賀県は、熊本県阿蘇郡西原村をカウンターパートナーとして支援。住民約7000人、職員数約70人の同村に対し、佐賀県は総勢1161人、のべ7369人/日の職員を派遣した。円城寺氏らはこの際、住民の罹災証明のための家屋被災調査にドローンを活用できると考えたが、行政上の理由で叶わなかったという。