コニカミノルタは、米国の創薬支援企業であるInvicro社を買収する。このほど本格参入を表明した「プレシジョン・メディシン」の事業加速を図る狙い。2017年9月25日に開催した記者会見で発表した。
「医療事業はコニカミノルタのこれから5~10年のトッププライオリティ」。会見に登壇した同社 代表執行役社長 兼 CEOの山名昌衛氏は、語気を強めてこう宣言した。医療事業については、既にプライマリケアや診断の領域で取り組みを進めているが、これから大きな拡大を目指すのが、プレシジョン・メディシン分野であると位置付ける。
プレシジョン・メディシンは、患者を精密に層別(グループ)化し、患者特性に応じた適切な投薬や治療、予防を提供する医療のこと。そのためには、個々人の細胞における遺伝子発現やたんぱく質などの特性を分子レベルで判別することが必要になる。
コニカミノルタは、「HSTT」(High Sensitive Tissue Testing)と呼ぶ、たんぱく質の存在位置と量を正確に測定する独自技術を保有しており、これをプレシジョン・メディシン事業の一つの軸とする。ここに、まずは遺伝子診断技術を持つ米Ambry Genetics社の買収を2017年7月に発表(関連記事)。第2弾として今回、Invicro社の買収に踏み切った格好だ。
「この2つの買収で、我々のプレシジョン・メディシン事業の骨格は完成した」。コニカミノルタのヘルスケア部門の責任者である藤井清孝氏(常務執行役 ヘルスケア事業本部長)は、そう語る。