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自分の耳がスピーカーになる

 振動子で外耳道の入り口の軟骨部を振動させると、軟骨でできている外耳道内に振動が伝わり、気導音が生成される。言い換えれば、「自分の耳をスピーカー(音源)とする」(細井氏)というわけだ。この気導音が内耳の細胞を動かして音を聞くことができる。

 これまでの補聴器は、(1)気導、または(2)骨導、のどちらかの方法を用いていた。(1)の気導は、音が空気の粗密波となって鼓膜に伝わり内耳の細胞を動かし音を聞く方法だ。健常者が音を聞く仕組みである。(2)の骨導は、骨を振動させることで内耳の細胞を動かす。

音が聞こえる仕組み。図中の線はそれぞれ伝導方法を示している。(青)気導経路、(緑)骨導経路、(赤)軟骨伝導経路
音が聞こえる仕組み。図中の線はそれぞれ伝導方法を示している。(青)気導経路、(緑)骨導経路、(赤)軟骨伝導経路
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軟骨伝導補聴器の主な対象
軟骨伝導補聴器の主な対象
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 外耳道閉鎖症による難聴者は、気導補聴器では補聴効果が低いため、骨導補聴器を使用することが多かったという。しかし骨導補聴器は、「ヘッドバンドで頭部を圧着するか、頭蓋骨にインプラントを埋め込む必要があった」と清水氏は話す。軟骨伝導補聴器の誕生によって圧迫感を伴ったり手術をしたりすることなく、音を獲得することが期待できる。

リオン 代表取締役社長の清水健一氏
リオン 代表取締役社長の清水健一氏
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 外耳道閉鎖症は、片側性は1万人の出生に1人、両側性は10万人の出生に1人の割合で発症する。現在国内には「1万2000人いる」(清水氏)とみられている。奈良県立医科大学で外耳道閉鎖症などによる難聴者を対象に臨床試験を実施したところ、被験者から「使い方が簡単」「聞こえが良くなった」「軽量で負担が少ない」といった声が届いたという。