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埋もれていたデータを生かす

慶応大学医学部 循環器内科の木村雄弘氏
慶応大学医学部 循環器内科の木村雄弘氏
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 「外来に来た時の血圧などのデータだけでは、分からないことがある。患者が日々どのような状態にあり、どのような活動をしているかをモニタリングすることは非常に重要だ」。慶応大学の木村氏は今回の取り組みの意義をこう語る。

 同氏らのグループはかねて、iPhoneやApple Watchなどのデバイスを使って、臨床的価値のあるデータを収集できるかどうかを検討する研究を進めてきた。Apple社のオープンソースフレームワーク「ResearchKit」を使った、不整脈や脳梗塞を早期発見するアプリを活用した臨床研究はその1つ(関連記事3)。こうした研究を通じ、「歩数や移動距離と、心不全のスケール(指標)に相関があることなどが分かってきた」(木村氏)という。

 今回の研究でも、患者のバイタルデータや自覚症状、それらと生活習慣の相関などに着目しながら、効果的なモニタリングや介入の方法を検討していく。「埋もれていた日常のデータの活用は重要だが、そのノウハウが医療現場にはたまっていない。そうしたノウハウの確立に今回の取り組みを生かしたい」(木村氏)。

患者側のCareKit画面
患者側のCareKit画面
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 同時に「日々のデータを見てもらっているという安心感を患者に提供する」(同氏)ことが大きな狙いだ。その安心感そのものが、患者のケアの改善につながると木村氏は見ている。CareKitが、いわば電子化された「健康管理手帳」「お薬手帳」の役割を担うことで「患者による自らの状態把握や、医師との相互理解にも役立っている」(同氏)という。研究を通じ、遠隔モニタリングの実地診療における有用性を検証するとともに、遠隔診療などへの展開を検討していく。