PR

インクジェット方式で時間とコストを削減

SCREENホールディングス 常務取締役 最高技術責任者(CTO)の灘原壮一氏
SCREENホールディングス 常務取締役 最高技術責任者(CTO)の灘原壮一氏
[画像のクリックで拡大表示]
 そこで今回は、インクジェット技術を用いて臓器モデルを直接作ることで、鋳型を不要にした。個別の鋳型を作る必要がないため、心臓レプリカ制作の時間短縮と低価格化が期待できる。具体的には、データ処理と造形にそれぞれ1日、最短2日間で制作することが可能だという。コストは「従来の半分」(SCREENホールディングス 常務取締役 最高技術責任者(CTO)の灘原壮一氏)に抑えられる。

 今回のシステムでは、患者のCT画像から抽出した心臓データを基に、特殊な樹脂であるモデル剤(臓器モデル部分)とサポート剤(臓器以外の部分を覆う樹脂)をインクジェットで打つことにより臓器を造形する。その後サポート剤部分を除去することで臓器モデルを得ることができる仕組みだ。CT画像のデータ処理をクロスエフェクトが行い、臓器造形システムはSCREENホールディングスが作成、サポート剤とモデル剤は共栄社化学が開発した。

共栄社化学 奈良研究所 取締役 研究担当の福岡重範氏
共栄社化学 奈良研究所 取締役 研究担当の福岡重範氏
[画像のクリックで拡大表示]
 モデル剤に使用する樹脂は、インクジェット技術を利用するため、「水のようにジャバジャバした樹脂にした」(共栄社化学 奈良研究所 取締役 研究担当の福岡重範氏)。さらに、形成後も柔らかい質感を保つための工夫も施した。質感に関しては、さらに実物に近づけるべく、医師へのヒヤリングを通じて現在も樹脂の改良を続けている。

 今回のシステムは、1年後をめどに量産技術を実用レベルまで高める考えだ。まずは小児用心臓レプリカの医療機器としての承認や保険収載を狙っており、「できるだけ早い認可を目指したい」と国立循環器病研究センターの白石氏は話す。将来的には、小児のみならず、成人心疾患や大動脈疾患の心臓レプリカ提供も目指すという。