2019年度戦略の「5つP」
2019年度の戦略において重視するテーマとして堤氏は5項目を挙げ、その頭文字を取って「5つのP」と表現した。すなわち、「Personalized」(パーソナル化)、「Precise」(精密化)、「Preventive」(予防的)、「Productive」(生産性)、「Partnerships」(パートナーシップ)である。
医療情報だけでなく、例えば電動歯ブラシやスマートフォンなど通じて集積した生活関連情報なども含めた統合的なデータを解析し、一人ひとりに合った健康支援を行っていこうという考えがパーソナル化だ。また、遺伝子や病理などさまざまなデータを解析することによって、患者個々人に対して精密な診断と最適な治療方法を提示できる精密医療に向けた具体的ソリューション開発にも取り組む。高いモチベーションを持った健康維持への取り組み、あるいは重症化を予知して早期に効果的な介入を促すといった予防的なヘルステックにも注力する。
堤氏は、こうした3つPを組み合わせ相乗作用によって価値を創造することがヘルスケアにおける「デジタルツイン」だとし、「患者のあらゆるデータを解析・活用し、仮想的にデジタル上にリアルタイムで患者を緻密に再現し、予防・医療の早期介入していく仕組みを生み出していく」と語った。
4つ目のProductiveは、医療従事者の生産性や医療プロセスなどヘルスケアの効率・効果測定、最適化への取り組みである。その一例として、昭和大学と共同で行ってきた「遠隔集中治療患者管理プログラム」(eICU)を挙げ、集中管理の仕組みによる医師の生産性向上、ケアの効率化・最適化を進めるという。堤氏はこうした取り組み、変革はフィリップスだけでは成し遂げられないとし、「パートナーの知見、創造的なチャレンジング・アイデアを得てイノベーションにつなげていく」と述べ、パートナーシップ強化をあらためて強調した。