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自己申告の限界を克服

 徳野氏はまず、精神科疾患に対する医療の課題を指摘した。精神科疾患は本人に自覚症状がない、またはあっても隠したがる傾向があり、心理テスト(アンケート)によるスクリーニングには限界があるという。ストレスは蓄積されるため、疾患の要因となっているストレスを特定しにくいという課題もある。

講演する徳野氏
講演する徳野氏
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 そこで「(本人が)コントロールできない指標がほしい」(徳野氏)と考えた。その手段として着目したのが、光吉氏が開発した「声から感情が見える技術」だ。感情はストレスによって変化する。そこで、この技術を抑うつ傾向などの「心を知る技術」に応用する研究を光吉氏とともに始めた。

 まず試みたのが、東日本大震災の支援活動に従事した自衛官1004人と、通常業務に従事する自衛官444人のストレス度の評価である。アンケートや血液検査でストレス度が異常と判定された被験者のうち223人に対して音声によるストレス度解析を試み、面接の結果と比べた。

 その結果、アンケートでは治療が必要な29人のうち27人をスクリーニングでき、音声解析では同26人をスクリーニングできた。アンケートでは正常と誤判定された2人を、音声解析では正しくスクリーニングできたという。自らの症状を過小評価しやすい「Reporting bias」と呼ばれる現象を、音声解析では克服できる可能性が示された形だ。

 意図的に過小評価したわけではなくても、精神的に「疲れていることに自分自身が気づかない」(徳野氏)こともある。こうした潜在的なリスクを、音声解析では検出できる可能性がある。