2時間の薬歴記録業務を20分に
最後に登壇したのが、カケハシ 代表取締役CEOの中尾豊氏だ。2017年8月から提供している次世代薬歴システム「Musubi」を紹介した。
同社が着目したのは、年間8億回患者と顔を合わせる機会を持つ薬局だ。多くの人にとって薬局は薬を受け取る場所にすぎないが、このタッチポイントを生かそうと厚生労働省が「かかりつけ薬剤師」の呼びかけを行うなどさまざまな取り組みを行っている。しかし、実は薬剤師は1日のうち2時間余りを患薬歴記録業務に費やさなくてはならず、患者と接する時間が限られてしまっていたのだ。
こうした業務フローを改善するために開発したのがMusubiである。服薬指導と同時に薬歴記録を行えるようにし、これまで2時間かかっていた薬歴記録を20分で行えるようにした。短時間で記録できれば、「患者への指導に当てる時間が増えるほか、現場の働きやすさにもつながる」と中尾氏は話す。
具体的には、Musubiを使って服薬指導を行う場合、タブレット端末などのタッチパネル式の画面上に指導内容が示される。画面に表示される薬の説明や健康アドバイスの中から患者に合う内容を説明して画面をタップすると、自動的に指導内容が薬歴に反映される仕組みだ。これによって、指導をしたのに薬歴に記録するのを忘れるようなこともなくなる。
さらに、患者の年齢や疾患、薬歴の情報を基に健康のための生活面のアドバイスも行うことができる。これによって、生活習慣病の重症化予防などにつなげることを狙っている。既に全国6万店ある薬局のうち1万店から問い合わせがあったという。「患者の薬局体験を良くしていきたい」と中尾氏は展望した。