選択肢を提示する

 こうした事例を踏まえ、松村氏が重要なポイントとして挙げたのは「強制しない」ということ。強制すると反感を持たれる可能性があるため、「選択肢として提示することが大切。どちらを選んでも良いとすれば、自分で選んでいるので満足度が下がることはない」と同氏は説く。理解した上で選択してもらい、その結果として本来の問題も解決するように仕掛ければ良いという流れだ。

 言い換えれば「問題設定を上手くすり替える」ということになる。本来とは違うもう1つの目的を用意し、目的の二重性を上手く使って行動を変えるというアプローチだ。従来のアプローチでは「行動を変える前に意識を変える」という考え方だったが、仕掛学では「先に行動を変えてもらい、その結果として後から意識が変わる」という考え方になる。そのため、「本来とは異なるもう1つの目的をどう用意するか。それが仕掛学の“肝”だ」と松村氏は言う。

 最後に松村氏は、「1回の行動を変えるだけでは効果がない。最終的に、それを習慣化してもらう必要がある」と指摘した。そのためには、行動を変えた結果として、「心地良さや達成感、満足感といったフィードバックを得られるようにしなければならない」という。このフィードバックによって本来の目的にも関心が向くことから、「フィードバックを上手く得られるようにし、その後の行動変容に上手く導いていくことが重要だ」と同氏は締めくくった。