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 地域包括ケア時代に向けて見守りシステムの発展が望まれる中、ICT活用への期待は大きい。しかし、まだ順調に発展しているとは言い難く、ICTが果たす役割も定まっていない。見守りを良い形で推進していくためにも、評価指標を作る必要があるのではないか――。

 ICTを活用した見守りにおいて、システム評価の指標づくりが必要だと提案するのは、日本遠隔医療学会 常任理事の長谷川高志氏(群馬大学医学部附属病院研究員)だ。同氏は、遠隔医療に関する学術大会「JTTA Spring Conference 2016」(主催:日本遠隔医療学会、2016年2月12~13日)の地域包括ケアシンポジウムにおいて、現状の課題を次のように指摘する。

 「ICTで見守りをやりたい、それにかかわりたいという事業者が多い。しかし、公募する行政側も事業者側も、どんな視点を持ってサービスを形づくったら良いか分からず、現場でミスマッチングが起きている」。

講演する長谷川氏
講演する長谷川氏
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 長谷川氏は、まず見守り事業の基本視点として、計画立案、公募・採択、実施後の各段階での評価が欠かせないと強調。「個々の実証システムを作る技術だけでは事業として完結しないので、どこまで社会ニーズを満たしているかを明らかにしなければならない」と、基本視点を形成する必要があると述べた。

 また、知識やノウハウは暗黙知として留まりやすく、それでは社会に普及しないと指摘。形式知とするために概念形成ができることが重要であり、言語化できることが欠かせないと説いた。