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提供価値を言語化し、定量化せよ

 木村氏は2017年の国内デジタルヘルス業界を振り返り、注目すべき動きとして次の3点を挙げた。(1)遠隔診療(オンライン診療)への参入激化、(2)ストレスチェックや働き方改革を背景とする健康経営ソリューションの増加、(3)ウェルネス領域から医療機器申請/保険収載を見据えた医療・介護現場向けサービスへのシフト、である。(3)では医療者発ベンチャーの増加や治療アプリの登場などに注目できるとした。

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 ベンチャーキャピタリストの立場からのヘルスケアベンチャーへの要望として挙げたのは、次の3点だ。第1に、事業の立ち上げにもっとスピード感を持つこと。既に上場したヘルスケアベンチャーを分析すると、PER(株価利益率)など市場からの評価は総じて高いものの、上場までの期間は10~15年と長い。上場にこれだけの時間がかかると、VCとしては支援を続けづらいと木村氏は話す。

 第2に、提供価値を明確にし、対外的にそれを示すこと。米Fitbit社はここ5年ほどの間に(同社のサービスにかかわる)多数の論文を発表しており、米WellDoc社も糖尿病治療アプリの効果を論文で示したことが保険収載につながったと木村氏は語る。このように「提供価値を言語化し、定量化して示す」(木村氏)ことが鍵になるという。

 そして第3に、自社のソリューションやサービスを実証できる場を確保すること。現在、国内デジタルヘルスベンチャーの多くは「ユーザーが集まらず、データが集まらず、資金が集まらない、という負の連鎖に陥っている」(木村氏)。これを断ち切るためには、事業会社や医療機関と連携するなど、PoC(Proof of Concept)を得るためのコミュニティーづくりが欠かせないと木村氏は指摘する。