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 数mm角のチップを歯の裏に付けておくだけで、「美味しく減塩」できる――。

 慶応義塾大学医学部が2017年3月26日に決勝大会を開催した「健康医療ベンチャー大賞」(関連記事1)。社会人部門を制したのは、独自の減塩技術“ソルトチップ”を提案したチーム「L Taste」だ。発表者の慶応義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 博士課程の東和彦氏は2017年7月、この技術を事業化するベンチャー「L Taste」を設立する。

社会人部門で最優秀賞を獲得した「チームL Taste」
社会人部門で最優秀賞を獲得した「チームL Taste」
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 人間が感じる塩味は、舌の味蕾(みらい)と呼ぶ器官に接した唾液の食塩濃度で決まる。ここに関与していない食べ物内部の食塩は「ムダに摂取している」(東氏)ことになる。ソルトチップはここに着目し、微量(0.1gほど)の食塩を含むチップを歯の裏に付け、そこに触れる舌の表面で塩味を感じさせる。水溶性高分子に食塩を分散させた呈味層と粘着層から成り、粘着層で歯の裏にチップをつけると、塩分が薄い食べ物でも十分な塩味を感じられる。チップは6分ほどで溶けてなくなる。

登壇した東氏
登壇した東氏
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アーモンドとソルトチップが参加者に配られ、発表中にみんなで“試食”
アーモンドとソルトチップが参加者に配られ、発表中にみんなで“試食”
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 ソルトチップは、東氏が所属する三木研究室(三木則尚准教授)の研究成果に基づく技術で、国内外で特許を出願済み。2017年3月に東京都内の病院で心臓病患者を対象にした実証研究を始めており、量産に向けてメーカーとの共同研究も進める。

 想定する単価は20円。既に減塩食を摂取している患者(国内に約2万人)や、食塩摂取量が制限されている患者(同約300万人)をターゲットにする。

 L Tasteは“Localized Taste”の略。チップ単体での販売にとどまらず、ソルトチップを使って美味しく食べられる食事の「レシピ開発を含めたトータル(ソリューション)で売りたい」と東氏は話している。