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いたずらにKPIを追わない

 移住にあたっては、入居者の安心・安全を確保する意味から、自治体に遵守すべき共通必須項目を提示していく。具体的には移住希望者の意思確認・健康状態の確認に始まり、多世代と交流・協働できる環境の提供や地域交流拠点の整備、マッチングやお試し居住などの支援、生涯活躍のまちの事業計画などだ。とりわけ事業計画に関してはいたずらにKPIを追わずに「ゆっくりと2~3年かけて構想を練って実施に至る形が重要」(駒田氏)とした。

 政府は法整備と交付金の両面から活動を支援する。まずは地域再生法を改正し、その中に「生涯活躍のまち形成事業」を導入することで、煩雑な申請手続きの簡素化を図る。また、省庁の枠組みを超えた「生涯活躍のまち形成支援チーム」を発足させ、地域における課題やニーズを把握・検討し、円滑な情報交換を進めていくとした。

 そして、平成28年度当初予算として新型交付金と呼ばれる「地方創生推進交付金」を計上し、地方創生事業全般を対象に交付する予定だ。「地方創生推進交付金に関してはソフトを中心に使っていただきたい。ハードの部分に関しては例えば空き家や公民館の改修など、ソフト事業と一体となったものを想定している」(駒田氏)。

 なお、地方創生推進交付金に先駆け交付された地方創生先行型交付金(平成26年度補正予算)を活用したのは全国で37自治体。駒田氏はその中から岩手県雫石町、石川県輪島市、鳥取県南部町、高知県を「特徴的な取り組み事例」として紹介し、まずは実施段階に入っている自治体から積極的に支援していく方針を示した。