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感染症の流行マップを10分で

 まずは「超ビッグデータ創出ドライバ」について、プロジェクトリーダーの原田氏が説明した。このプロジェクトでは、ビッグデータの収集を担うネットワーク基盤を開発し、数~数十kmの範囲に存在する数万台規模のモニター/センサーが生み出すデータを収集できるようにする。

血圧計の計測データを伝送するIoTゲートウェイのデモを披露
血圧計の計測データを伝送するIoTゲートウェイのデモを披露
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 数kmエリアまでの「狭域系」ではWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)方式、数十kmをカバーする「広域系」ではWi-RAN(Wireless Regional Area Network)方式を採用する考え。前者を京都大学とローム、後者を京都大学と日立国際電気が中心となって開発している。

 このうち狭域系では、Bluetooth Low Energy(BLE)による無線通信機能を搭載した血圧計などで測ったデータを「広域につなぐ接続が重要になる。狭域と広域、超狭域と狭域をブリッジする技術を開発する」(原田氏)。開発成果の一端として紹介したのが、Wi-SUN FAN(Field Area Network)を搭載した小型IoTゲートウェイ。BLE搭載機器などで収集した情報を、マルチホップによる多段中継で伝送する仕組みだ。

 超ビッグデータ創出ドライバでは、こうしたデータ収集の仕組みをパブリッククラウドにソフトウエア(OS)として実装できるようにする。既に「AWS(Amazon Web Services)上にOSに相当するプラットフォームを構築している」(原田氏)ところだという。このプラットフォームに、モバイル端末などからアクセスできる環境を整えていく。

東京大学の喜連川優氏
東京大学の喜連川優氏
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 「超ビッグデータ処理エンジン」については、プロジェクトリーダーの喜連川氏が、非順序型の実行原理を備え、必要な時に必要なデータ処理リソースを投入できる「エラスティック(伸縮可能)非順序型」の処理エンジンへの取り組みを紹介した。ストレージアクセス速度は、従来比4万倍に当たる約400万回/秒を達成し、目標とする1000万回/秒(従来比10万倍)に近づきつつあるという。

 こうした進化により、「手足口病やインフルエンザの流行の季節変動を、10分くらいで算出できる」(喜連川氏)データ処理基盤が整ってきた。2017年秋には、約2000億レコードに相当する6年分の公的医療データも解析可能になる見通しという。