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東京大学大学院の佐久間一郎氏
東京大学大学院の佐久間一郎氏
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 「医療機器産業の市場規模は増加しているが、分野によってその成長には差が見られる」――。そう話すのは、東京大学大学院 工学系研究科附属 医療福祉工学開発評価研究センター センター長で教授の佐久間一郎氏だ。2016年8月23日に東京都内で開催されたイベント「ふくしまからはじまる医療機器の未来」に登壇し、医療機器産業のトレンドを解説した。

 医療機器産業はこの20年ほど、経済状況に左右されずに「右肩上がりを続けている」(同氏)。分野別に見るとMRIやX線CT、超音波などの画像診断装置は市場規模こそ大きいものの、その伸びは限定的。これは画像診断装置の市場が国内ではある程度「飽和しているため」(同氏)という。

 近年、大きく成長している分野もある。カテーテルや結紮(けっさつ)縫合機器などの処置用器具や、医用内視鏡を含む生体現象計測・監視システムがそうだ。「低侵襲治療の普及によって伸びている」(同氏)分野である。

 ただし、国内メーカーはこうしたトレンドに追いついていないのが現状だ。2013年における医療機器の輸入輸出額を見てみると、画像システムは輸出額が輸入額を上回っているが、処置用機器や生体現象計測・監視システムは「そのほとんどを輸出に頼っている」(同氏)。

 こうした成長分野における日本の競争力は限定的だと、佐久間氏は指摘する。現状を打破するためには、「複数の研究機関が連携した研究プログラムを実施し、日本の強みである“工業力”と“臨床力”を活用する必要がある」(同氏)。