PR

運用の規模が重要

 黒田氏が言う情報銀行とはPCEHR(Personally Controlled Electronic Health Record)、すなわち患者自身が情報のコントロール権を持つ医療情報基盤を指す。この仕組みでは、医療機関が患者からの依頼(カルテ開示請求)に応じて医療情報の一部を情報銀行の個人口座に「振り込む(送信する)」。患者はこのうち必要な情報を手元に「引き出す」。そして口座情報は、患者の許諾の下で他の医療機関が「引き落とし(閲覧)」できる。

 銀行の収入源は預金の運用であり、情報銀行では“医療情報(EHR)の運用”がそれに当たる。銀行が利益を生むには運用する預金の規模が重要で、情報銀行でもそれは同じだ。運用するEHRの規模を大きくして利益(情報利用料)を生み「情報銀行を独り立ちさせる」(黒田氏)試みとして、同氏は自らも参画する「千年カルテ」プロジェクトを紹介した。日本医療研究開発機構(AMED)の採択事業として日本医療ネットワーク協会が主導しているもので、全国規模でのEHR基盤構築を目指している(関連記事3)。

 こうした情報銀行の仕組みにおいて、複数のEHRを取りまとめて運用する役割を担うのが、代理機関である。複数のEHRの情報を匿名化しデータベース化した上で、2次利用者に提供する役割だ。個別の医療機関ではなく代理機関が情報を匿名加工することで、複数の医療機関にまたがって患者の病歴を追跡することなどが可能となる。

 代理機関に関する論点の1つとして黒田氏は、2017年の改正個人情報保護法の施行後に、病歴などが「要配慮個人情報」として本人の同意なしに提供できなくなることへの対応を挙げた。医療情報の代理機関への提供をオプトアウト方式でできるようにするための立法措置の検討が、急ピッチで進められているとした。