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 医療や介護の現場におけるロボット導入に関する講演が繰り広げられた「介護ロボットフォーラム2015 in 新横浜」(主催:かながわ福祉サービス振興会、2015年9月15日開催)。七沢リハビリテーション病院脳血管センター病院長の山下俊紀氏特別養護老人ホーム新鶴見ホームの事務長の伊藤尚子氏に続き、介護老人保健施設たかつ 事務課長の湯浅亮氏が、手指の機能回復に向けたリハビリを補助するロボット「パワーアシストハンド」を導入した効果について講演した。

 パワーアシストハンドは、樹脂製のジャバラが付いたグローブをはめて使うもので、ロボット研究開発拠点都市プロジェクトチームアトムが開発した。ジャバラへの給気と吸気を制御してジャバラを膨張・収縮させることで、手指関節の屈伸運動をアシストする。さがみロボット産業特区から商品化された最初のロボットだ。

若手職員の意欲向上をうながす

 介護老人保健施設たかつは、利用者が自宅へ戻るためのサポートをしながら、3カ月ごとに入所継続か在宅復帰かを検討している。定員は100人程度(うち認知症向けが約20人)。自慢は辞める職員が少ないことだ。「フロア勤務の職員およそ35人のうち、1年に1人が辞めるか辞めないか。10年以上の勤続者が多い」と湯浅氏は胸を張る。

介護老人保健施設たかつの事務課長である湯浅亮氏。コストに関しては、パワーアシストハンドが「かわさき基準」に適合していることから「川崎市内の施設で導入するとお得」とコメント
介護老人保健施設たかつの事務課長である湯浅亮氏。コストに関しては、パワーアシストハンドが「かわさき基準」に適合していることから「川崎市内の施設で導入するとお得」とコメント
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 たかつでは、介護職が本来の業務に専念できるよう、清掃や洗濯、自動車の運転などを担当するスタッフを別途、雇用している。残業は少なく、有給休暇が取りやすい環境を整え、専門課題に対処する13の委員会に職員が所属することで、職員が自覚や誇りを持って働けるようにした。委員会で決めた施策を施設全体に適用することが多いという。例えば、スキンケア委員会では、施設利用者に薬用ローションの塗布や尿取りパッドの選定などを行った。また、委員長には、いわゆる「ヒラ」の職員が就任するようにして、若手職員の意欲向上をうながしている。

 こうした中、パワーアシストハンドの導入も、湯浅氏がリハビリ担当の職員に紹介し、職員が使い方のアイデアを出し合うことで活用が進んだという。湯浅氏はパワーアシストハンドを自身が試用した感想を次のように述べる。「短時間で手のひらにじっとり汗をかき、運動になっていると感じた。それでいて、柔らかい動きのためか、“やらされている”感は強くない。この結んでひらいての運動が何かの役に立つのではないかと直感した」。施設では、職員が常にそばについてリハビリをするケースばかりではなく、暇な時間ができると“放っておかれている”気分になる人も中にはいる。「ロボットを使うことで、施設利用者もスタッフも、一人でも多く笑顔になれれば」と考えた。