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人工知能が肝に

 だが、医療ビッグデータの構成要素として、ゲノムの「シーケンスだけでは不十分」だと田中氏は話す。米国では遺伝子などの情報がどのように形質として表現されるかという臨床表現型(phenotyping)をデータベース化する「eMERGEプロジェクト」が始動。電子カルテへの遺伝情報の統合などの試みが進められてきた。

 そして米国のゲノム・オミックス医療は、2013年に分岐点を迎える。NIH(米国立衛生研究所)が「Big Data to Knowledge(BD2K)Initiative」を立ち上げ、医療ビッグデータを国家戦略に位置付けることを明確にしたのだ。

 プロジェクト名が示す通り、強く意識されているのはビッグデータからの「知識発見」。そしてその手段となるのが、データマイニングや人工知能などの「知識発見システム」だ。田中氏は同システムを、ゲノム・オミックス情報などの「網羅的分子情報」および「臨床表現型情報」に続く医療ビッグデータの第3の構成要素と位置付ける。

 知識発見システムに関しても、米国の取り組みは目覚ましい。ASCO(米国臨床癌学会)はがん患者の症例を10万人を超える規模で集めることを目指すとともに、その解析システムを開発中。米IBM社のコグニティブコンピューティング技術「IBM Watson」のがん医療への応用も本格化し始めた。