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バイオバンクやゲノムコホートに日本の活路

 それでは、日本における医療ビッグデータの活用状況はどうか。田中氏によれば、日本では患者の診療情報を電子データ化し蓄積するという従来型データベースが大半。ゲノム・オミックス情報までを含むような医療ビッグデータは「まだ存在せず、これから始まる」段階だ。

 ゲノム・オミックス情報を臨床に応用する上で、米国の取り組みを5年後れで追いかける意義は薄いと田中氏は話す。日本が力を入れるべきは「バイオバンクやゲノムコホート。ここでは米国にそれほど後れを取っていない」。

 日本におけるバイオバンク/ゲノムコホートの事例として挙げたのが、同氏も参画する東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)。東北地方で15万人規模を対象とすることを目指したコホート研究で、2015年秋からは試料・情報の分譲を始める。

 こうしたバイオバンク/ゲノムコホートが明らかにしつつあるのは、ある疾病が生じる場合、その要因が「遺伝的因子と環境的因子の“掛け算”でも“足し算”でもない」ことだという。ある特定の遺伝的因子を持つ人がある特定の生活習慣を続けたときにだけ、罹患リスクが際立って高くなる。バイオバンク/ゲノムコホートはこうした条件に関する「地形図をつくる」試みだとした。

 田中氏が医療ビッグデータの“第2の流れ”と位置付けるのが、モバイルヘルス(mHealth)だ。ウエアラブルセンサーやIoT(internet of things)を使い、日常の生体・生活情報を継続的にセンシングする取り組みである。こうした流れは、従来のReactive(対応的)でOccational(機会的)な医療から、Proactive(予見的)でLife-long(生涯的)な医療への「パラダイムシフトをもたらす」。