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――ヘルステック分野にIT企業などが参入しています。他社との差異化をどのように図りますか。

 他社がヘルステックの領域に参入するのはウエルカムです。個々人の生活の向上に貢献するからです。ただし単にデータを持っているだけでは不十分です。我々は医療分野の専門家として、医療に適したデータを持っています。AIも「Adaptive intelligence(アダプティブ・インテリジェンス)」をコンセプトにしたヘルスケアに特化したものです。どのようなデータが使えるのか、使えないのか。データを捨てることからAIをやっていきたいと思っています。

 IT企業であれば、どんどんデータを集めようとするでしょう。我々はITの会社ではないので、データが集まってデータセンターを大きくしてもメリットはありません。コストが高くなってしまいます。データが集まりすぎても、解析に時間がかかります。間違ったデータが入っていれば、AIが間違った方向に進んでしまいます。データを精査することを始めないといけません。

 データを精査するにも、医療に特化したデータでないと意味はないです。それは我々が得意とする部分です。普段の生活パターンまで広げれば、他社もさまざまなデータを持っているでしょう。それらと連携することで、より価値のある生活を作れると思います。そうした意味で参入はウエルカムです。

――データをどのように利活用してきますか。

 我々はオープンのクラウド「HealthSuiteデジタルプラットフォーム(HSDP)」を持っています。フィリップスに特化したクラウドではなく、「オープンエコシステム」をベースに、連携の中でデータの共有化を図り、分析を一緒にしていこうというものです。ワーキングの場を提供しています。

フィリップス・ジャパン代表取締役社長の堤浩幸氏(中央)
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フィリップス・ジャパン代表取締役社長の堤浩幸氏(中央)

 「つながらないクラウド」を作ってはいけないと思っています。カセットテープの事業で学びましたが、オープン化することが重要です。皆に使ってもらい、その中から価値を創造して、大きなマーケットを作っていく。競合メーカーとも協業して、マーケットを作っていく。健康な生活を実現するためには、小さなことにこだわるのではなく、もっと大きな世界を考えないといけないのです。

 壁を作らないことが重要です。私は「医療機器ベンダー」という言葉が嫌いです。もうヘルステックの世界なのです。そこにあるデータを共有しなければならない。データをどう活用すればいいかを患者中心で考えなければならない。健康な生活をしている人にも役立てなければならない。そのために連携を進めたり、データマイグレーションを進めたりしていきます。