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ホワイト企業の選定基準となった健康経営銘柄

 経済産業省が2013年12月に設置した次世代ヘルスケア産業協議会は、こうした問題意識にもとづいて、健康問題の「需要」と「供給」を議論してきた。その結果、医療分野のアクションプランとして、従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」の推進を決めた。健康経営に積極的に取り組んでいる企業を選んだ「健康経営銘柄」は、その具体的な活動である。「健康経営に頑張る企業を外から“見える”ようにしようと、従業員の健康にコストをかけていて、なおかつ業績の良い企業を選んだ」(江崎氏)。

 2014年度の健康経営銘柄は、東京証券取引所上場企業の22業種区分から1社ずつ選定した(2014年度健康経営銘柄の一覧)。この健康経営銘柄は、就職活動中の学生が優れた労働環境を持つ“ホワイト企業”を見分ける基準に使われたこともあって大評判になり、「選定されなかった企業から山のように問い合わせが来た」(江崎氏)。このため1回限りだった当初の予定を変更して、2015年度も第2回となる健康経営銘柄の選定を進めている。

優秀な中小企業には政府系金融機関の金利を優遇

 このほか、健康経営のための情報交換の組織である「KENKO企業会」を2015年6月に設立した。KENKO企業会には2015年12月現在、大企業を中心に25社が参加しており、従業員の家族を含めると65万人の健康を増進する活動に取り組んでいる。

 このKENKO企業会を中心に進められているのが、「ヘルスケアデータコンソーシアム(仮称)」というプロジェクトである。ここではレセプト、健診、さらにウエアラブル機器から得られた生体情報などを統合し、それに基づいて健康によい生活を送るためのアドバイスを行うことを検討している。「『健康のために●●に気をつけましょう』という一般論だけでは意味がない。本人同意のもとに実名データを収集して、問題のある生活をしている人に『このままだと死にますよ』と言えるぐらいでないと効果は出ない」(江崎氏)。

 中小企業向けには、厚生労働省と共同で「健康経営ハンドブック」の策定を進めている。江崎氏は、中小企業は大企業以上に健康経営に対する問題意識が高いという。「私が岐阜県庁に出向していたときリーマンショックが起き、地元の中小企業も大きな打撃を受けた。このとき、いち早く経営を立て直した企業経営者の多くは女性だった。彼女らは『お客様に人生を楽しんでもらえる商品やサービスを提案するには、従業員自身が健康で人生を楽しむ発想を持たなければなりません』と言っていた」(江崎氏)。

 さらに、健康経営に熱心に取り組む中小企業1万社に健康問題に取り組むことを宣言をしてもらい、その中から「健康経営優良企業」を選ぶことも検討している。健康経営優良企業に選定された企業には、政府系金融機関から融資を受ける場合の金利優遇や各種保険制度でインセンティブを与えることを考えているという。