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量子コンピューターで発明型創薬を可能に

 第4のテクノロジーは、「将来を大きく動かす可能性を秘めた重要な技術のひとつ」と沖山氏が話す量子コンピューター。従来のコンピューターよりも1億倍速いともいわれるもので、これまでのコンピューターの上位互換といえる量子ゲート式と、根本的に概念の異なる量子アニーリング式の2種類がある。

 量子ゲート式は、粒子であり波でもあるという量子の同時存在性や同時並行性を利用し、処理性能を飛躍的に向上させる。ただし、商用化までにはまだ少し時間がかかるといわれている。

 一方、量子アニーリング式は既に「D-Wave 2X」などで商用化されている。最適化問題に特化しているのが特徴で、解の導き方はかなり独特だ。従来のコンピューターが問題の解を求めるために“地図” を提示するとすれば、量子アニーリング式は解をピンポイントに示すのではなく、解の方角を示す“コンパス” を提示してくれるイメージである。これにより、解ける問題の範囲が飛躍的に広がる。アルゴリズムが発見されていない問題でも、量子アニーリング式であれば解けるようになる可能性があると沖山氏は説明する。

 医療においては、量子コンピューターによって最適化問題が解けることにより、例えば「発見ではなく“発明” するような能動的な製薬が可能になる」(沖山氏)。機械学習との相性も良いため、その進歩を加速させることにもつながるという。

ブロックチェーンも医療に使える

 第5のテクノロジーは、デジタル情報の真偽を保証する技術であるブロックチェーン。

 同技術を採用するビットコインでは、過去の取引結果を記録するブロックをまとめて扱い、10分ごとに更新することで、チェーンのように伸びていく仕組みが備わっている。不正書き換えがあっても10分以内で済ませないと次のブロックが伸びるほか、ユーザー全員が同じ情報を共有しているため、改ざんは事実上不可能だ。

 また、中央管理者が不在でユーザーそれぞれが情報を共有するというブロックチェーンの概念は、「権力体への依存によって起きうる共倒れのリスクがないことが大きなメリット」(沖山氏)。

 やり取りがスムーズになる情報のデジタル化も、ブロックチェーンがもたらす効用の一つである。

 医療業界では、医療記録の個人管理、医薬品のトレーサビリティー、医療者の習熟度評価や労務管理などでの活用が考えられるという。既に英DeepMind社による患者データの情報管理システムや、米MITの電子カルテ「MedRec」など、ブロックチェーン技術を用いた研究が進んでいる。