自社設計のCVD装置が品質維持のカギ

 薄膜シリコンにおけるセルの低コスト化と高品質化のカギの一つは、CVD(chemical vapor deposition:化学気相堆積)工程にある。同社では、自社で設計したCVD装置をメインに使っている。当初は、装置メーカーが製品化した装置を使っていた。

 CVD工程では、シリコン系の材料をガス(SiH4)の状態で供給し、反応槽(チャンバー)における化学反応によって、アモルファスシリコンや多結晶シリコンの薄膜を、ガラス基板上に堆積させる。

 自社で設計した装置を使うことで、高い品質を維持したまま、生産性の向上による低コスト化を実現できたとする。

 CVD装置では、一回の処理で、複数枚のガラス基板上に薄膜シリコンを成膜する。この処理を連続的に繰り返す。一回ごとの処理時間の短縮だけでなく、メンテナンスなどの頻度を長くし、できるだけ長い期間、連続的に処理し続けることが、生産性の向上につながる。ただし、連続処理には限界がある。

 例えば、化学反応によって成膜するため、反応による生成物がCVD装置内に残ってしまう場合がある。処理を連続していくほど、その可能性が高くなる。装置内に生成物が残ったままの状態で、次に成膜すると、品質や信頼性に悪影響を与える恐れがある。

 そこで、一定の回数の処理を繰り返した後、装置内をクリーニングする必要がある。クリーニングに要する時間は、生産に寄与しないので、生産性を上げるには、できるだけその間隔を広げたい。

 自社で設計し、特性を把握しやすい装置を使うことで、CVDのプロセス条件(レシピ)と装置の適性を最適にでき、クリーニングの間隔を長期化できることにもつながっているという。

 不具合が起きた時にも、迅速に対応しやすい。トラブルの兆候が見え始めた時や、成膜した薄膜シリコンに不具合が生じ始めた場合でも、プロセス条件を熟知しているため、原因を早く特定して正常な処理に復旧できるという。

 一時期、CVDなどの真空装置メーカーが主導し、薄膜太陽電池セルの製造装置を一貫供給する「ターンキー」と呼ばれる手法が盛んになった。しかし、同社によると、薄膜シリコン型の太陽電池セルの量産において、ターンキーの手法では、生産管理に限界があるという。中でも、CVD工程は、装置内の状態が常に一定とは限らないために、メンテナンスまで含めた生産性や信頼性の向上の観点で、自社設計の利点が大きいと強調している。