ヘテロ接合で必要な、新たな品質・信頼性の知見

 カネカにとって、ヘテロ接合型の量産開始は、品質や信頼性への新たな取り組みの契機ともなる。これまでの薄膜シリコン型とは違い、単結晶シリコンやはんだ、銅による電極など、初めて手がける要素が少なくないからである(図4)。

図4●セルの電極は銅で形成
図4●セルの電極は銅で形成
細い電極(フィンガー)が銅色なのがわかる。太い電極(バスバー)も銅で形成しているが、パネル組み立て時に形成するリード線(銀色)の下に隠れている(出所:カネカソーラーテック)
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 例えば、セルやパネルの評価技術では、こうした新たな要素に対して、短期間で信頼性を評価できる技術の開発に取り組んでいる。セルの劣化一つをとっても、薄膜シリコン型とヘテロ接合型では、構造が異なるため、新たに知見を積み重ねていく必要がある。

 ヘテロ接合型の量産開始には、ベルギーの研究機関であるimecとの共同開発や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで開発してきた成果が生きた。

 imecは、ルーベン・カトリック大学内に拠点を置き、世界トップクラスの半導体の研究開発機関として知られる。エレクトロニクスの領域が社会環境全体や人間の身体にまで広がる中、最近では手がける対象をこうした分野にまで広げている。

 カネカとimecの共同研究では、2009年に、imec内に「カネカ太陽電池研究室」を設け、imecの太陽電池研究者との技術交流を密接にするとともに、imecの結晶シリコン型太陽電池の研究設備を活用し、ヘテロ接合型を含む先端的な太陽電池セルを研究している。

 ヘテロ接合型の開発は、imecの結晶シリコン技術や銅めっき技術と、カネカの薄膜シリコンの技術を融合して実現した。こうした成果として、2015年10月には、5インチ(125mm)角のウエーハを使ったセルが、変換効率25.1%を達成したと発表した。

 豊岡における量産では、n型の単結晶シリコン・ウエーハを購入し、その両面に薄膜のアモルファスシリコンを形成後、電極を形成する。セルの表面上の電極には、めっきで形成した銅によるものを採用している。

 銅による電極の量産品への適用は、世界初ではないかとしている。銀などの従来の材料に比べ、抵抗値が低いため、セルの発電効率が向上する。コスト面でも利点があるという。

 セルの表面では、アモルファスシリコンの上を保護層が覆っている。ここに均一に銅をめっきする技術などにノウハウがあり、特許を多く申請している。量産技術の向上が、今後の出力向上のポイントの一つとなっている。