「パネルの下を有効活用したい」

 ジャパンインペックスは、電気設備工事を手掛けるサビデンキ(鯖江市)の太陽光施工部隊が分離・独立する形で2011年に設立された。住宅用太陽光のほか、固定価格買取制度(FIT)の開始後には、高圧配電線に連系する大型案件も含め、約30サイトの太陽光発電所を施工した実績がある。

 本社に隣接する遊休地に昨年、出力550kWの太陽光発電システムを建設し、自ら発電事業にも取り組み始めた。約50kW分は、住宅太陽光のデモンストレーションも兼ねており、模擬屋根型の架台に太陽光パネルを設置した。残りの500kW分は、高さ約3mの支柱に50cmの隙間を空けてパネルを設置し、営農型太陽光発電事業(ソーラーシェアリング)を想定した藤棚式架台を採用した(図2)

図2●営農型太陽光発電を想定した藤棚式架台
図2●営農型太陽光発電を想定した藤棚式架台
(出所:日経BP)
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 太陽光パネルは中国インリー・グリーンエナジー・ホールディング製(275W・60セル/枚)を採用し、パワーコンディショナー(PCS)はダイヘン製を導入した。

 佐飛康央社長は、かねてから、「太陽光パネルの下の空間を何かに有効利用できないか」と考えていた。500kWの自社発電所を藤棚式にしたのも、そのためだった。

 もともと発電所用地は農地ではないので、農地法に基づく「一時転用」には該当しない。一時転用制度による営農型太陽光の場合、パネルの影による減収が本来の収量に比べ20%以内に留まるなどの条件がある。今回のように雑種地でのソーラーシェアリングでは、そうした制約がないので、自由な発想で、パネル下の利用について検討できる。

 「地域特性を生かし、事業的に持続可能な活用法を模索し、山菜や薬草の栽培など、さまざまな案を検討したが、いいアイデアがなかった。そんななか、吉江あおい会のフタバアオイ栽培の取り組みを知り、これだと思った」と、佐飛社長は振り返る。