HVDC給電に太陽光の電力を投入

 太陽光パネル10枚で1つの直列回路(ストリング)とし、8回路分を1つの接続箱で並列接続して直流380Vに変換し、集電箱を経て自営線を使ってデータセンターに直流送電している。接続箱には、MPPT(最大電力点追従制御)機能の付いた製品(ニプロン製「PVマキシマイザー」)を採用し、本来PCSが担うMPPTをストリングごとに処理している(図3)。

図3●MPPT(最大電力点追従制御)機能の付いた接続箱(出所:日経BP)
図3●MPPT(最大電力点追従制御)機能の付いた接続箱(出所:日経BP)
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 さくらインターネットが、太陽光発電の直流をそのまま活用するシステムの導入に踏み切ったのは、すでに、石狩データセンターに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入していたことが大きい。「HVDC給電システム」とは、商用の交流電力をサーバで活用する際、AC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げる仕組みだ(図4)。

図4●「高電圧直流(HVDC)給電システム」の仕組み(出所:さくらインターネット)
図4●「高電圧直流(HVDC)給電システム」の仕組み(出所:さくらインターネット)
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 データセンターでは、電力系統の停電や瞬停に備え、UPS(無停電電源装置)の導入が必須となる。UPSに内蔵する蓄電池は直流で入出力する。最終的な負荷であるサーバも心臓部のマザーボードは直流で情報処理するが、サーバ自体はまず交流を受ける設計になっている。従って、一般的なデータセンターでは、商用の交流を受電し、UPS内で直流に変換後、交流に戻す「AC/DC/AC」処理を行う。出力された交流は、各サーバ内の電源ユニットが再び直流に変換する「AC/DC」処理し、マザーボードに供給する。