超電導ケーブルに切り換える
さくらインターネットは、さらに先を睨んだ直流送電の実証プロジェクトにも参加している。8月10日から、「石狩太陽光発電所」の発電電力をデータセンターまで銅線ケーブルで、直流送電していたが、9月24日に高温超電導ケーブルに切り替えた。もともと直流は交流よりも送電ロスが少ないが、高温超電導ケーブルを使うことで、さらに損失が減る。交流を銅線で送るのに比べ、直流を超電導ケーブルで送ると損失は半減する。
また、超電導ケーブルを使って交流を送電する試みも先行して始まっているが、交流特有のインダクタンス(誘導子)損失があり、これは超電導ケーブルでも減らせない。また、交流送電では、ケーブルが3本必要だが、直流送電の場合、最低1本で済むため、省スペースの上でも優位性がある。
こうした利点から、現在、世界で超電導直流送電システムの実証事業が動き始めている。特に韓国とロシアなどが熱心で、計画も含め500m~2.5km程度の実証プロジェクトが公表されている。日本では、中部大学が200mの送電に成功している。
今回の石狩での実証事業は、「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」が実施する。同組合は、超電導直流送電とその関連技術を共同で研究・試験するため、千代田化工建設、住友電気工業、中部大学、そして、さくらインターネットにより2014年1月に設立された。石狩市での実証プロジェクトは、経済産業省からの委託事業となる。
同組合は、まず、さくらインターネットの石狩太陽光発電所と石狩データセンター間の500mに住友電工製の高温超電導ケーブルを地下1.2mの深さに埋設し、すでに太陽光の電力を直流送電し始めた。ケーブルは断熱2重管の中で-196℃の液体窒素で冷却され、ビスマス系線材の電気抵抗がゼロになる。太陽光電力の送電に先駆け、8月初旬、商用電力を直流に変換し、試験的に送電し、5kA、100ⅯVAの送電能力を確認した。これは約3万世帯分の電力に相当する。